スクワットで“しゃがめない”…それ、足関節の背屈制限かも?
理学療法士として、スクワットや段差昇降といった動作を見たとき、「なんとなく動きがぎこちない」と感じたことはありませんか?
その背景に、足関節の背屈制限が関与しているケースは少なくありません。
本記事では、背屈制限の評価ポイントと、モビライゼーションの進め方について、臨床で使いやすい形で解説します。
1. なぜ足関節の背屈が重要なのか?
背屈可動域が十分に確保されていないと、以下のような問題が生じます。
- スクワット時に踵が浮く・膝が内側に入る
- 歩行時のスムーズな足部ロッカーが阻害される
- 段差昇降時に代償的な股関節や体幹の過剰動作が出現
背屈制限は、パフォーマンスの低下や疼痛の原因になることもあります。
2. 背屈制限の原因を見極める評価のポイント
背屈制限の原因には、大きく以下の3つがあります。
・関節包や靭帯の制限(関節性)
背屈時の「詰まり感」「固さ」を訴えることが多く、関節モビライゼーションの適応となります。
・筋・腱の柔軟性低下(筋性)
特に腓腹筋やヒラメ筋、前脛骨筋など。
膝屈曲位と伸展位での背屈ROMを比較し、腓腹筋の影響を除外することで判別が可能です。
・神経系の関与
末梢神経の滑走不全や中枢由来の筋緊張亢進が関与している場合もあり、関節以外の要因も見落とさないようにします。
3. モビライゼーションの進め方
背屈制限が関節性の場合、以下の手順でモビライゼーションを実施します。
▶ Step 1:背屈ROMの正確な測定(膝屈曲位での確認)
患者がリラックスした状態で、明確なエンドフィールを確認します。
▶ Step 2:距骨後方滑りの誘導
距腿関節に対し、背屈方向に対して距骨を後方へ滑らせるように誘導します。
セラピストの手の位置と患者の足部の角度に注意します。
▶ Step 3:前後比較と再評価
介入前後のROM、動作分析(スクワット、段差昇降)を比較し、変化を共有することでモチベーションにもつながります。
4. 動作観察と評価の組み合わせが重要
静的評価だけでなく、実際の動作でどう影響しているかを観察することが、臨床では非常に重要です。
例えば…
- スクワットで踵が浮く
- 歩行の立脚終期で過剰な股関節屈曲
- 段差昇降時のつま先引っかかり
これらの観察から「どの関節が原因か?」を逆算して評価を進めると、より的確な介入が可能になります。
まとめ|足関節背屈の評価とモビライゼーションは臨床の基本
足関節の背屈制限は、日常動作や運動パフォーマンスに大きく影響します。
正確な評価に基づいて適切なモビライゼーションを行うことで、動作改善や疼痛軽減につながるケースは多くあります。
ぜひ、日々の臨床に取り入れてみてください。
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