自己分析を行うことで、自分の強みや向いている職場が明確になり、書類や面接で一貫したアピールができます。この記事では、理学療法士が転職前に行う自己分析の手順と、強みを言葉にして面接で伝えるコツをわかりやすく解説します。
なぜ自己分析が大切なのか
自己分析をせずに転職活動を始めると、志望動機や自己PRが抽象的になり、「この人がどのように働けるのか」が伝わりにくくなります。
理学療法士の採用では、手技の有無だけで決まるわけではありません。学び続ける姿勢や新しい技術に取り組む姿勢は好印象につながる一方、特定の手法に強くこだわると「周囲と歩調を合わせにくいのでは」と見られる場合もあります。採用側は技術力と周囲と進める力(連携・柔軟性)のバランスを見ています。
例として、「回復期で身につけた情報共有力を、訪問リハでのご家族支援に活かしたい」のように、過去の経験と今後の方向性をつないで語れるようになるのが自己分析の狙いです。
STEP1|過去の経験を整理する
まずはこれまでの仕事を振り返り、事実ベースで棚卸しします。次の観点を時系列で書き出しましょう。
- 勤務先・期間:病期・領域・配属など
- 担当疾患・対象者:脳卒中、整形、在宅 など
- 主な業務:評価・治療・カンファレンス・後輩指導 など
- 印象に残ったエピソードや成果:達成できたこと・苦労したこと
あわせて、「なぜそれが印象に残ったのか」を言語化すると、自分の価値観が見えてきます。
- 患者・家族が安心できた時にやりがい → 説明力・信頼関係を重視
- 動作分析を工夫して成果が出た時に達成感 → 分析力・改善志向が強い
書き出しテンプレート(コピペして使えます)
| 期間 | 職場 | 主な業務 | 印象的な経験 | 学んだこと/気づき |
|---|---|---|---|---|
| 20XX/04〜20XX/09 | 回復期病棟 | 評価・治療・カンファ | 退院前指導で不安を軽減 | 説明の順序と資料化が有効 |
| 20XX/10〜20XX/12 | 外来 | 動作分析・セルフマネジメント支援 | 自主トレ継続率が改善 | 生活条件に合わせた調整が鍵 |
STEP2|自分の強みを見つけて言葉にする
強みは「得意」「好き」「評価された」の重なる部分にあります。各項目を3つずつ書き出し、共通点を探しましょう。
- 得意:自然と頼まれる、短時間で質を出せる仕事
- 好き:時間を忘れて没頭できる分野・作業
- 評価:患者・家族・同僚・上司から感謝や称賛を受けた点
言語化のコツは、何を・どのように・どんな結果の順で具体的に。
例)図や動画を使い、患者さんが納得できる説明を徹底。
その結果、自主トレの継続率が向上。
→ 強み:説明力/継続支援力/コミュニケーション力
抽象語(例:努力家・真面目)ではなく、行動と結果で語ると伝わります。
強みの例(理学療法士)
- 対人:傾聴力・説明力・調整力・安心感づくり
- 技術:観察眼・動作分析・徒手療法・プログラム設計
- 思考:問題解決・改善志向・学習継続・仮説検証
挫折や行き詰まりから学んだことも強みの種です(粘り強さ・工夫・視点転換など)。
STEP3|面接・応募書類での伝え方
伝えるときは、次の簡単3ステップを意識すると一貫性が出ます。
- 結論:私の強みは〇〇です。
- 根拠:〇〇の経験から、こう考えています。
- 活かし方:御院では〇〇に貢献します。
例)私の強みは「説明力」です。
外来で理解度に差があったため、図や動画で説明を工夫したところ、継続率が上がりました。
御院でも患者さんとご家族が安心して取り組める環境づくりに貢献します。
自己分析で見えてくる「自分に合う職場」
- 教えるのが得意:回復期病棟/教育体制が整う職場
- チームで進めるのが好き:地域包括・在宅など連携が多い現場
- 技術を深めたい:急性期/専門クリニック
- 分析志向:研究・データ活用に積極的な組織
「自分の強みが最も発揮できる環境はどこか」を基準に選ぶと、ミスマッチを防げます。
まずはここから(チェックリスト)
- 職歴・役割を時系列で書き出した
- 印象的な経験を3件選び、理由と学びを言語化した
- 得意・好き・評価を各3つ挙げて共通点を探した
- 強みを「行動と結果」で一文にまとめた
- 面接用に90秒で話せる自己PR(結論→根拠→活かし方)を準備した
- 強みが活きる職場タイプを2つに絞った
まとめ
自己分析は、過去の経験から自分の強みと提供できる価値を言葉にする作業です。強みが言語化できれば、志望動機と自己PRが一本のストーリーでつながり、面接でも説得力が増します。まずは棚卸しから着手し、強みの具体化、そして伝え方の順で整えていきましょう。


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