「求人票では良さそうだったのに、実際に働いてみたら全然違った」
これは、若手理学療法士からよく聞く言葉です。
勤務時間、給与、休日数。
求人票には一見、問題なさそうな条件が並んでいても、
実際の働きやすさや職場の健全さは、数字だけでは判断できません。
私自身、これまで若手の理学療法士から
「思っていた職場と違った」「こんなはずじゃなかった」という相談を受けることが何度もありました。
この記事では、求人票だけでは見抜きにくい
ブラック職場に共通する“危険サイン”を整理します。
なぜ若手理学療法士ほどブラック職場に当たりやすいのか
若手理学療法士がブラック職場に入りやすい背景には、いくつか理由があります。
- 比較できる職場経験が少ない
- 「最初は我慢するもの」と思い込んでしまう
- 忙しさ=成長だと勘違いしやすい
- 辞めたいと思うことに罪悪感を持ちやすい
特に、「今が踏ん張りどき」「自分が未熟だから大変なんだ」と
環境の問題を自分の責任にすり替えてしまう若手は少なくありません。
ブラック職場に共通する“危険サイン”一覧
まずは全体像です。
以下のうち、複数当てはまる職場は要注意です。
- 常に人手不足で、新人がすぐ辞めている
- 残業や休日出勤が当たり前になっている
- 教育体制がなく、放置されがち
- 上司や先輩の機嫌で職場の空気が変わる
- 評価や昇給の基準が不透明
- 見学・面接時の説明と現場の実態が食い違う
ここから、それぞれを詳しく見ていきます。
危険サイン① 常に人手不足で新人が定着しない
求人が常に出ている職場は、一見「人を大切にしている」ように見えます。
しかし実際には、人が定着しない構造を抱えている場合も多いです。
- 若手が1〜2年で辞めていく
- 中堅層がほとんどいない
- ベテランだけが残っている
こうした職場では、
「人がいないから忙しい」が慢性化し、
新人が育つ前に消耗してしまいます。
危険サイン② 残業・休日出勤が暗黙の了解
「自主的に残っているだけ」
「みんなやっているから」
こうした言葉が当たり前のように出てくる職場は要注意です。
- 記録は勤務時間外が前提
- 定時で帰ると気まずい空気
- 有給はあるが実質使えない
若手ほど「空気を読んで残る」ことになり、
気づけば慢性的な疲労状態になります。
危険サイン③ 教育体制が整っていない
ブラック職場ほど、教育が属人化しています。
- マニュアルがない
- 指導者が日替わりで変わる
- 質問すると「自分で考えて」と言われる
成長できているようで、
実際には放置されているだけというケースも少なくありません。
教育がない職場では、
ミスが起きたときだけ責められる構造になりやすいです。
危険サイン④ 上司・先輩の機嫌に左右される
- 日によって指示が変わる
- 感情的な指摘が多い
- 相談すると「自己責任」で終わる
こうした職場では、
常に顔色をうかがいながら働くことになります。
若手ほど委縮しやすく、
意見を言えない空気が定着しがちです。
危険サイン⑤ 評価・昇給の基準が不透明
- 何を頑張れば評価されるのか分からない
- 面談は形式的
- 昇給は年数だけで横並び
評価の基準が曖昧な職場では、
頑張る方向性を見失いやすくなります。
「どうせ評価されない」という諦めが、
モチベーション低下につながります。
危険サイン⑥ 見学・面接時とのギャップが大きい
- 「残業少なめ」と聞いていたが実際は多い
- 「雰囲気がいい」と言われたが現場はピリピリ
- 良い部分しか説明されなかった
見学時は“見せたい部分”しか見せない職場もあります。
だからこそ、違和感を覚えた感覚を軽視しないことが大切です。
見学・面接で若手PTが見ておきたいポイント
- スタッフ同士の会話量や表情
- 若手が意見を言えているか
- 記録や業務の流れが整理されているか
- 質問に対する答えが具体的かどうか
条件よりも、「空気感」を見る意識が重要です。
ブラック職場を避けるために大切な考え方
- 合わない環境は、能力不足ではない
- 我慢し続けることが成長ではない
- 違和感は、立派な判断材料
若手のうちに無理を重ねると、
理学療法士という仕事自体が嫌いになってしまうこともあります。
まとめ|「避ける力」もキャリアスキル
ブラック職場には、必ずサインがあります。
それを見抜けなかったのは、あなたのせいではありません。
大切なのは、
次は同じ環境を選ばないこと。
職場を見極める力も、
理学療法士として長く働くための大切なスキルです。

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