「しっかりやっているはずなのに、自信が持てない」
「評価されていない気がして、気持ちが沈む」
理学療法士として働いていると、こうした感覚を抱くことは珍しくありません。
むしろ、真面目で責任感の強い人ほど、自己肯定感が下がりやすいと感じます。
私自身も、忙しさや業務量、上司との方針の違いなどが重なった時期に、
「自分はこの仕事に向いていないのでは」と感じたことが何度もありました。
ただ振り返ってみると、
自己肯定感が下がっていた原因は能力不足ではなく、
日々の考え方や1日の終わり方の癖だったように思います。
この記事では、臨床現場で働く中で実感してきた
「自己肯定感を少しずつ立て直すために役立った習慣」を3つ紹介します。
自己肯定感が下がりやすい理学療法士の特徴
理学療法士は、職業的に自己肯定感が下がりやすい要素を多く抱えています。
- 患者さんの状態が思うように良くならない
- 評価や介入に「正解」が見えにくい
- 他職種や先輩、同期と比較してしまう
- 忙しくても「頑張った実感」が残りにくい
現場ではどうしても
「できなかったこと」「足りなかったこと」に目が向きがちで、
できている部分は自然と見過ごされてしまいます。
私自身、回復期病棟・維持期・外来を兼任していた頃は、
常に時間に追われ、
「今日も走り切ったけれど、何が残ったんだろう」
と感じる日が続いていました。
理学療法士の自己肯定感を高める3つの習慣
ここから、私自身が実感してきた
自己肯定感を取り戻すために役立った習慣を3つ紹介します。
1.評価軸を「他人」から「自分の基準」に戻す
自己肯定感が下がる大きな原因の一つが、無意識の「比較」です。
- 先輩はもっと上手くやっている
- 同期は評価されている
- 自分だけ取り残されている気がする
私も、上司との方針が合わなかった時期に、
「自分の判断は間違っているのでは」と感じ、
徐々に自信を失っていきました。
そんなときに意識するようになったのが、
評価軸を他人ではなく、自分の基準に戻すことです。
例えば、
- 安全に関われたか
- その場で無理をさせない判断ができたか
- 患者さんの生活を意識した介入ができたか
他人と比べるのではなく、
「自分が大事にしたい判断基準」で1日を振り返るようにしました。
評価軸が定まると、
周囲の評価に振り回されにくくなり、
気持ちが少しずつ安定してきたのを覚えています。
2.できたことを“言語化”して1日を終える
忙しい1日の終わりほど、
うまくいかなかった場面ばかりが頭に浮かびがちです。
私自身も以前は、
反省だけで1日を終えることが多く、
どれだけ頑張っても気持ちが回復しませんでした。
そこで意識するようになったのが、
できたことを具体的に言葉にしてから1日を終えることです。
例えば私の場合、
- 歩行練習では距離を伸ばすことよりもADLでの安全性を優先し、現在の課題である方向転換を安全に行うことを中心に実施できた。
- 立ち上がり動作でふらつきが見られたため、無理に続けず、一度座位に戻してからやり直す判断ができた。
- 時間に追われている状況でも、移乗前のブレーキ確認や、フットレストによる表皮剥離を起こさないよう注意を怠らずに対応できた。
こうした「判断」や「配慮」も、
立派にできたことだと捉えるようにしました。
技術的な成果でなくても、
臨床判断や安全への意識は十分に評価してよい部分だと感じています。
3.役割や関わり方を少しだけ変えてみる
自己肯定感が大きく下がっているとき、
仕事が「作業」になってしまっていることが多いです。
私自身、書類の負担が大きかった時期に、
ただ記録をこなすだけの感覚になり、
仕事がつらく感じたことがありました。
そのとき、
- どうすれば効率的に書類を作れるか
- 本当に必要な記載は何か
を考えるようになりました。
評価や記録の流れを見直したり、
不要だと感じる項目がないかを整理して提案することで、
業務全体の効率化を図っていました。
その結果、
ただ書類を“こなすだけ”の感覚が薄れ、
仕事に対する作業感が減って、
気持ちがかなり楽になったのを覚えています。
大きな役職や環境の変化でなくても、
関わり方を少し変えるだけで、
自己肯定感は回復しやすくなります。
自己肯定感は「積み上げ式」で戻ってくる
自己肯定感は、一気に回復するものではありません。
ただ、考え方や習慣を少しずつ整えることで、
確実に積み上がっていく感覚があります。
自信が持てない時期があること自体は、
決して悪いことではありません。
まとめ
- 自己肯定感は性格ではなく、習慣で整えられる
- 他人との比較を減らし、自分の基準を持つ
- できたことを具体的に言語化して1日を終える
- 作業感が強い部分ほど、関わり方を少し変えてみる
しんどい日があっても大丈夫です。
また元気が湧いてきたときに、
少しずつ整え直していきましょう。
あなたのペースで、
理学療法士としての時間を積み重ねていけば問題ありません。

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