はじめに
職務経歴書は、履歴書と並んで転職活動において重要な応募書類です。履歴書が「基本情報」だとすれば、職務経歴書は「経験の深さ」と「強み」を具体的に伝えるツール。採用担当者はここから「臨床スキル」「リーダー経験」「患者層への対応力」などを読み取ります。理学療法士は業務が似通って見えやすいため、具体性と数字がないと差別化が難しいのが実情です。
職務経歴書チェックリスト
- 勤務先名・法人名・在籍期間を正式表記で記載しているか
- 担当病期や対象疾患(例:脳血管・整形・小児など)を具体に書いているか
- 1日の担当件数や患者数など、数字で示しているか
- 役割(リーダー・新人指導・カンファレンス参加など)が伝わるか
- 成果や取り組み(在宅復帰率・転倒予防・学会発表など)を盛り込んでいるか
- 応募先施設の特色と自分の経験を結びつけているか
- レイアウトは読みやすく、見出し・箇条書きを活用しているか
各ポイントの解説
勤務先名・在籍期間を正式に
「△△病院 リハビリテーション科」だけでなく、法人名から正式に書き、在籍期間を年月で明記しましょう(例:医療法人〇〇会 △△病院 リハビリテーション科/2015年4月〜2020年3月)。法人名を省く応募書類は信頼性が下がります。
担当病期や対象疾患を明確に
「病棟勤務」だけでは不十分です。回復期・外来・訪問・老健など病期、脳血管・整形・内部障害・小児など対象を具体化すると、経験の強みが一目で伝わります。
数字で示す(件数・規模・頻度)
「多くの患者を担当」より「1日12〜15名を担当」「週5回カンファ参加」など、規模や頻度を数値化。説得力と比較可能性が高まります。
役割の記載(ポジション・責務)
臨床以外に、チームリーダー・新人教育・実習生指導・委員会活動・多職種カンファなどを明記。採用側は「組織でどの役割を担えたか」を重視します。
成果や取り組みをエビデンス化
成果は数値・期間・方法で示すと読み手に伝わります。例:「在宅復帰率80%維持(2018〜2020)」「転倒予防プログラム導入で病棟内転倒件数20%減」。取り組み(評価の標準化、退院前訪問の運用など)も具体的に。
応募先に合わせたアピール
求人票の対象・病期・方針と、自分の経験の接点を職務経歴書内に配置。訪問リハ志望ならIADL指導・家屋評価・サービス担当者会議の経験を前面に、回復期ならFIMや歩行距離などのアウトカム連動を強調します。
レイアウトと読みやすさ
見出し(職務要約/主な担当領域/役割・実績/学会・研修)+箇条書きで2〜3ページに収めるのが目安。段落を短くし、重要語は強調で可読性を上げます。
具体例(書き方イメージ)
回復期リハビリ病棟での経験(例)
- 在籍期間:2015年4月〜2020年3月
- 担当領域:脳血管疾患・整形外科疾患を中心に、1日12〜15名を担当
- 役割:チームリーダー(スタッフ7名の調整)、新人教育、実習生指導、多職種カンファ参加
- 成果:在宅復帰率80%を維持。転倒予防プログラム導入により病棟内転倒件数前年比20%減
まとめ
- 施設名・法人名・在籍期間は正式表記で明確に
- 病期・対象疾患を具体化し、経験の強みを示す
- 件数・割合などの数字で説得力を高める
- 役割と成果をエピソード&数値で可視化
- 応募先の特色に合わせてカスタマイズする
これらを押さえるだけで、ありきたりな職務経歴書から「一目で強みが伝わる」職務経歴書に変わり、面接への到達率が高まります。
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