「レントゲンでは変形が進んでいますね。」
そう言われた膝OA患者さんでも、
痛みの強さや生活障害は人によって大きく異なります。
逆に、画像上は軽度でも
「歩くのがつらい」「夜も痛い」と訴える方もいます。
だからこそ、理学療法士の初回評価が重要です。
膝OAの評価は、
“変形の程度を見る”ことではありません。
大切なのは、
・その痛みは何由来か
・どの動作で負荷がかかるのか
・何が増悪因子になっているのか
を整理することです。
この記事では、
膝OA患者の疼痛をどう読み解くか、
初回評価で必ず確認したい5項目を解説します。
膝OA評価の大原則|「痛みの正体」を分けて考える
まず意識したいのは、
痛み=関節軟骨の摩耗ではないということです。
膝OAの疼痛は、
・滑膜炎による炎症性疼痛
・機械的ストレスによる疼痛
・骨髄病変由来の痛み
・周囲軟部組織の緊張
・中枢感作の影響
など、複数要素が絡みます。
理学療法士の評価では、
まず「どのタイプの疼痛が優位か」を推測することが重要です。
初回評価で必ず確認すべき5項目
① 疼痛の性質と出現タイミング
最初に確認すべきは、痛みのパターンです。
・歩き始めだけ痛い(スタート痛)
・長時間歩くと痛い
・階段下降で痛い
・安静時や夜間も痛い
スタート痛は機械的要素が強いことが多く、
夜間痛や安静時痛が強い場合は炎症や他疾患の可能性も考えます。
疼痛の時間帯と動作を丁寧に整理するだけで、
介入の方向性はかなり明確になります。
② 関節可動域(特に伸展制限)
膝OAでは、わずかな伸展制限が
荷重線に大きな影響を与えます。
例えば伸展−5°があるだけで、
立位や歩行時の膝屈曲モーメントは増加します。
屈曲拘縮がある場合、
大腿四頭筋の過緊張や膝前面痛が持続しやすくなります。
単に「ROMが悪い」で終わらせず、
“その制限がどんな負荷を生んでいるか”まで考えることが重要です。
③ 大腿四頭筋機能(MMTだけで判断しない)
膝OA評価で筋力評価は欠かせません。
しかし、MMT5でも
実際の歩行では十分に使えていないことは珍しくありません。
見るべきは、
・収縮のタイミング
・筋の張り出し
・萎縮の有無
・エクステンションラグ
など、機能としての使われ方です。
理学療法士の評価は「筋力数値」よりも
「動作内での発揮」を見ることが本質です。
④ 歩行と荷重戦略
歩行観察は最重要項目です。
・外側スラスト
・体幹側屈
・歩幅の減少
・歩行速度の低下
膝内反モーメントが強いケースでは、
内側関節裂隙への負担が増大します。
ここを評価せずに筋トレだけ行っても、
疼痛改善が限定的になることがあります。
⑤ 関連関節(股関節・足部)
膝だけを見ていては不十分です。
・股関節内旋制限
・中殿筋機能低下
・足部回内外
・アーチ低下
運動連鎖の視点が欠けると、
再発や慢性疼痛につながります。
膝OAは「局所疾患」ではなく、
全身アライメントの問題として捉える必要があります。
よくある評価ミス
・画像所見を重視しすぎる
・痛み=炎症と決めつける
・筋力だけ強化すればよいと考える
・ROMだけに注目する
膝OAの臨床解釈で大切なのは、
“痛みの背景にある負荷構造”を読むことです。
まとめ|膝OA評価は「構造×機能」で考える
膝OAの初回評価で大切なのは、
① 疼痛の分類
② 可動域と荷重線
③ 筋機能の質
④ 歩行戦略
⑤ 関連関節の連鎖
この5つです。
理学療法士の評価は、
「どこが悪いか」ではなく
「どこで負荷が集中しているか」を見つける作業です。
初回評価で方向性が定まれば、
介入は格段にシンプルになります。
膝OAの疼痛評価は、
技術より“思考整理”が鍵です。
ぜひ明日の臨床で活用してみてください。


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