「キャリアを伸ばしたいけれど、何から始めればいいかわからない」
そう感じたときに最初の一歩としておすすめなのが、後輩への関わり方を磨くことです。
後輩指導は “専門性のアウトプット” そのもの。
自分が臨床で積み重ねてきた視点や判断基準を言語化することで、
周囲から「相談しやすい」「説明がわかりやすい」と評価され、結果的に信頼の積み重ねにつながります。
役職や資格より前に、
「この人の視点は参考になる」と思ってもらえるか。
そこがキャリアアップの基盤になると感じています。
なぜ “後輩指導” がキャリアアップにつながるのか
理学療法士の仕事は、
個人の判断力 × チームでの再現性 で成り立っています。
後輩に説明しようとすると、
自分が無意識に行っていた判断を整理する必要が出てきます。
- なぜこの介入を選んだのか
- どの場面を観察して判断したのか
- 何が変化したから次の段階に進めたのか
こうした “思考の道筋” を言語化できる人は、
カンファレンスや家族説明の場でも説得力が増し、相談が集まりやすくなります。
結果として、キャリアの選択肢が広がるきっかけになります。
後輩への関わり方で意識したい基本
● 正解を伝えるより、考えやすい問いを投げる
- 「どのタイミングから姿勢が崩れ始めたように見えましたか?」
- 「体幹の向きと重心の位置、どちらが先に変わりましたか?」
問いを投げることで、後輩の観察ポイントが自然に絞られます。
● 後輩の現在地を合わせる
相手が「どこまで理解しているか」を最初に確認します。
- 知識:座学で学んだ範囲
- 経験:臨床経験年数・担当領域
- 不安:自信がない動作や場面
● できた部分を先に言語化する
後輩は「何ができてきているか」を言われると、安心して学べます。
- 「立ち直り反応の崩れ始めを早く捉えられていたね」
- 「歩行中にバランスを崩した際、ステップ反応が自然に出て姿勢を立て直せていたね」
できた点を言語化したうえで改善ポイントを提案すると、受け入れられやすくなります。
● 指摘 → 代替案 → 練習 の順で伝える
ただの指摘は残りません。次に何をしたら良いかまで含めて伝えます。
- 崩れ始めを逃している
- → 崩れの方向を先に観察する意識を持つ
- → 次の歩行観察で最初のズレを一緒に言語化する
教育スキルを伸ばす5つの実践ステップ
- 自分の評価・介入プロセスを見える化する
言語化は自分の棚卸しにもなります。 - 観察ポイントを一緒に絞る
「崩れ始めの方向」に限定すると成功体験が作りやすい。 - 成功を共有する
例:「歩行中にバランスを崩した際、ステップ反応で立て直せたら成功」 - 失敗は“ズレ”として扱う
「できない」ではなく焦点のズレと考えると萎縮しにくい。 - 振り返りで“次にやる1つ”を決める
詰め込みは成長を感じにくくなります。
後輩指導で起こりやすいつまずきと、解決のヒント
- 相手が萎縮してしまう → 事実確認の問いに変える
- 質問が返ってこない → 観察ポイントを限定する
- 説明が伝わらない → 図・例・比喩を使う
- 時間が足りない → 昼休み前・申し送り前・移動中の3分で十分
信頼される指導者に共通する行動
- 返答が丁寧で、必要な部分が簡潔
- 指摘より「整理」「解釈」「代替案」が先
- 自分の言葉で説明できないときは素直に相談
- 後輩の成功を一緒に言語化し、喜べる
こうした行動は、
「一緒に働きたい人」としての印象につながります。
まとめ:キャリアアップは“教えること”で始まる
後輩指導は、自分の臨床判断を言葉にして整理し直せる貴重な機会です。
大きな変化より、目の前の後輩と1つの成功体験を作ることが、キャリアアップの最初の一歩になります。


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