「最近、仕事にやりがいを感じにくい…」
「患者さん対応で心がすり減っている…」
「この先のキャリアが見えない…」
理学療法士として働いていると、モチベーションの浮き沈みは誰にでもあります。
私自身、長年リハビリ現場にいて、同じような悩みを抱えた時期が何度もありました。
そんな時に支えになったのは、
大きな変化ではなく、“小さな習慣”を少しずつ整え直すことでした。
この記事では、明日が少しだけ楽になる、
理学療法士のためのモチベーション維持習慣を5つ紹介します。
理学療法士が試したい「モチベ維持習慣5つ」
まずは全体像を一覧でまとめます。
| No. | 習慣 | 効果 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 1 | 今日の“推し患者”を1人決める | 小さな達成感が積み重なる | 無理な目標を設定しない |
| 2 | 良かったことを3つ書き出す | 自己肯定感が少しずつ戻る | 「できたこと」を優先して思い出す |
| 3 | 休息を先にスケジュールへ入れる | パフォーマンスが安定しやすくなる | 休むことを“サボり”と捉えない |
| 4 | “やらないことリスト”を作る | 精神的な余白が生まれる | 「比較」「完璧主義」を手放す |
| 5 | 将来の選択肢を言語化しておく | 閉塞感が減り、前向きになりやすい | 小さな選択肢を複数書き出す |
ここから、それぞれの習慣について詳しく見ていきます。
1.今日の“推し患者”を1人決める
忙しい日ほど、すべての患者さんに全力で向き合おうとして、心身ともに疲れてしまいます。
そんな時におすすめなのが、「今日の“推し患者”を1人だけ決める」という方法です。
どの患者さんでも構いませんが、
- 今日はこの人の歩行を少しでも安定させる
- この人の不安を少しでも軽くする声かけを意識する
- この人の「できたこと」を必ず1つ言語化して伝える
といったように、小さなテーマを1つだけ決めて関わるのがポイントです。
1人の変化にしっかり気づけると、
「今日も意味のある1日だった」と思える瞬間が増え、
それがモチベーションの小さなエネルギーになります。
2.良かったことを3つ書き出す
1日の終わりに、
- うまくいかなかったこと
- 注意されたこと
- 自分の未熟さ
ばかりを思い返してしまう方も多いのではないでしょうか。
そこでおすすめなのが、「良かったことを3つ書き出す」習慣です。
書く内容は、些細なことで構いません。
- 患者さんに「ありがとう」と言ってもらえた
- 昨日よりスムーズに評価ができた
- 自分なりに工夫して声かけできた
など、「できたこと」「うれしかったこと」「気づき」を3つだけメモします。
ノートでも、スマホのメモでもOKです。
脳は「注目したもの」を強調する性質があります。
うまくいったことに目を向ける習慣をつくることで、
少しずつ自己肯定感の土台が整っていきます。
3.休息を先にスケジュールに入れておく
真面目な理学療法士ほど、
- 頼まれたら断れない
- 時間外の業務もつい引き受けてしまう
- 「自分だけ楽をしてはいけない」と感じてしまう
といった傾向があり、気づいたときには燃え尽き寸前…ということもあります。
そこで意識したいのが、「疲れてから休む」のではなく、「休息を先に予定に入れておく」という考え方です。
例えば、
- 午前と午後、それぞれ5分だけストレッチや深呼吸の時間をとる
- 昼休みに、1人でぼーっとする時間をあえて確保する
- 週に1日は、仕事のことを考えない時間を作る
といったように、「休むこと」も仕事の一部としてスケジュールに組み込んでしまいます。
回復の時間を確保することで、結果的に仕事のパフォーマンスも安定し、
モチベーションの大きな落ち込みを防ぐことにつながります。
4.“やらないことリスト”を作る
モチベーションが落ちているときは、
「もっと頑張らないといけない」「自分が我慢すればいい」と考えがちです。
しかし、「これ以上は自分を削らない」というラインを決めることも、とても大切です。
そこで役立つのが、“やらないことリスト”を作ることです。
例えば、
- 勤務時間外の業務連絡にはすぐに返信しない
- 他人の評価や昇進と自分を過度に比較しない
- すべてを100%完璧にこなそうとしない
といったように、自分を追い詰めてしまう行動を「やらない」と決めておきます。
もちろん、すべてを急に変える必要はありません。
「これは手放しても良さそうだな」と思えるものから、少しずつ減らしていくイメージで大丈夫です。
“やらないこと”を明確にすることで、
心に余白が生まれ、モチベーションを回復させるスペースができていきます。
5.将来の「選択肢」を言語化しておく
モチベーションが下がっているとき、
心のどこかで、
- 「このままここで働き続けていいのかな…」
- 「自分には他の選択肢がないのかもしれない」
といった閉塞感を感じていることがあります。
そんなときにおすすめなのが、「将来の選択肢を書き出してみる」ことです。
例えば、
- 今の病院で経験を積みながら、専門分野を深める
- 回復期や訪問リハなど、別のフィールドで働いてみる
- 副業でリハビリ以外のスキル(Webや執筆など)を育てておく
といったように、「今すぐ全部を変える」必要はありません。
ただ、紙やメモ帳に「こういう選択肢もアリだな」と書き出しておくことで、
「自分には、今の職場以外の道もある」という感覚が生まれます。
この「選択肢が見えている状態」そのものが、
モチベーションの土台を支える安心感につながっていきます。
まとめ:焦らなくて大丈夫
私自身、一番しんどかったのは、
患者さんが多い時期に、退院や初期評価、カンファレンス、書類作成がいっきに重なったときでした。
「時間が足りない」「丁寧に関わりたいのに追いつかない」と焦る一方で、
上司の方針とうまくかみ合わず、
「こんなに頑張っているのに評価されていないのでは…」と感じてしまうこともありました。
そんな時期でも、ある患者さんとの何気ない会話や、
少し休暇を取って職場から離れた時間がきっかけで、
ふっと心が軽くなる瞬間がありました。
そのときに感じたのは、
モチベーションは「一度ゼロになったら終わり」ではなく、
少し余白があれば、また少しずつ戻ってくるものだということです。
- 調子が悪い日があって当たり前
- 自分を追い詰めない習慣を少しずつ増やす
- 小さな「できたこと」に目を向ける
思うようにいかない日があっても大丈夫です。
また心が少し軽くなったときに、ゆっくり進んでいきましょう。
理学療法士としてのキャリアは、短距離走ではなく長いマラソンのようなものです。
途中で立ち止まったり、ペースを落としたりしながらでも大丈夫。
あなたのペースで、「続けてもいいかな」と思えたときに、また一歩前に進んでいきましょう。


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