現場で働いていると、
「自分、この仕事に向いていないのかもしれない…」
そんな気持ちになる瞬間は誰にでもあります。
患者対応、書類、チーム連携、責任の重さ。
周りはうまくやっているように見えて、
自分だけが空回りしている気がする——。
しかし、15年以上PTとして働いてきた実感として、
“向いていない”と感じるのは、働き方を見直すサインであり、キャリアが止まったわけではありません。
この記事では、「しんどい」「辞めたい」と感じたときに考えるべき3つの選択肢と、
その判断基準についてわかりやすく整理していきます。
選択肢は3つだけ
- 今の職場で働き方を調整する(負担軽減)
- 同じPT業界で働き方・領域を変える(適性の再確認)
- PT以外のキャリアも視野に入れる(スキル転用)
この3つのどれが正解というわけではなく、
あなたの体調・価値観・生活環境に合う選択肢を取ることが最も重要です。
■ 理学療法士が「向いていない」と感じる理由
新人〜10年目くらいのPTが悩むポイントには共通点があります。
- 患者対応のストレス
- 書類業務や加算管理の負担
- 急性期のスピード感についていけない
- 評価に自信が持てない
- 指導者との相性
- チーム連携の難しさ
- 責任の重さからくるプレッシャー
- 理想のリハと現場のギャップ
これらは決して“あなたが劣っている”わけではなく、
「環境要因」と「適性要因」が重なったときに生まれる悩みです。
■ 選択肢① 今の職場で働き方を調整する
いきなり転職を考える前に、
まずは「負担を減らす」「働く環境を整える」ことでも状況が変わる場合があります。
● 負担を減らすためにできること
- 担当患者数の見直しを相談する
- 書類のテンプレ化・ルーティン化で時短する
- カンファレンス・委員会の役割を調整する
- マイクロ休息(短い休憩)を意識して取る
- 業務を“溜めない仕組み”を作る
また、同じ施設でも、
- 急性期 → 回復期 / 外来 / 通所
といった院内異動が働きやすさを大きく左右することもあります。
■ 選択肢② PT業界内で働き方・領域を変える
「PTに向いていない」のではなく、
“今の領域が合っていないだけ”のケースは非常に多いです。
● 合わない→合う領域チェンジの例
- 急性期が合わない → 回復期・外来・通所
- 回復期がしんどい → 外来・整形外科クリニック
- 身体負担がしんどい → 訪問(歩行移動が少ない地域など)
- 書類が苦手 → 外来・クリニック
- ヒューマンストレスが強い → デイサービス、訪問、在宅支援
特に中堅期は業務の幅が広がるため、
「領域を変えるだけで働きやすくなる」ケースはかなり多いです。
実際、同僚が回復期や外来で消耗していることを間近でみて、
領域を変えたことで負担が大幅に減ったケースがあります。
■ 選択肢③ PT以外のキャリアを検討する
PTとして働く中で得た知識・コミュニケーション能力は、
他職種でも価値があります。
● PT経験が活かせる仕事の例
- 医療事務・地域連携室
- トレーナー・コンディショニング系
- フィットネスインストラクター
- 整体・自費リハ
- メディカルライター
- Web制作・デザイン
- リハ助手・生活相談員
- 企業リハ・産業保健的なポジション
PTを辞めてもキャリアは広がるという視点を持つことが大切です。
■ 判断基準:向いていないのか、環境が悪いだけなのか?
● 向いていない可能性が高いケース
- 患者と関わること自体が強いストレスになっている
- 評価や治療への興味がどうしても湧かない
- どの領域でもモチベーションが上がらない
- 心身が限界に近い状態が続いている
● 環境要因の可能性が高いケース
- 人間関係が悪い
- 患者数が多すぎる
- 指導者の相性が悪い
- 残業が多い
- 休みが十分に取れない
- 施設の方針が自分と合わない
環境を変えれば解決する悩みなのか?
それとも適性そのものの問題なのか?
ここを切り分けるだけで、進む方向が明確になります。
■ まとめ:悩むことはキャリアを整えるサイン
- つらい・向いていないという感情は、働き方を見直すタイミング
- 小さな調整で改善するケースは多い
- 領域を変えると得意が見えてくることがある
- PT以外のキャリアにも活かせるスキルがある
悩むことは“終わり”ではなく、より自分らしい働き方に近づくプロセス。
焦らず、一度立ち止まって選択肢を見直していきましょう。


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