理学療法士が人員配置から職場の余裕度を判断する方法|PT・OT・ST比率の見方と適正ライン

職場の選び方

「求人票を見ても、本当に余裕がある職場かどうかわからない…」

転職活動をしていると、給与や休日、福利厚生などの条件は確認できても、実際の現場がどれくらい忙しいのか、余裕を持って働けるのかは見えにくいものです。

私自身、これまで回復期や療養病棟、訪問リハなど複数の職場を経験してきましたが、同じ回復期でも職場によって忙しさは全く違いました。その違いを生む要因の一つが「人員配置」です。

人員配置が適正かどうかを見ることで、職場の余裕度をある程度判断できます。本記事では、理学療法士が転職時に確認すべき人員配置の見方と、PT・OT・ST比率から読み取れる職場の状況を整理します。

なぜ「人員配置」を見ることが大切なのか

転職先を選ぶとき、多くの人が給与や休日、勤務地などの条件を重視します。もちろんこれらも大切ですが、実際に働き始めてから「こんなに忙しいとは思わなかった」と感じるケースは少なくありません。

給与や休日だけでは見えない「現場の余裕」

求人票に書かれている条件は、あくまで制度上の話です。たとえば「年間休日120日」と書いてあっても、人員が足りずに休日出勤が常態化していたり、有給が取りにくかったりする職場もあります。

人員配置が適正でないと、1人あたりの業務負担が増え、結果として休みが取りにくくなったり、残業が増えたりします。逆に、人員配置に余裕がある職場は、休暇も取りやすく、業務も回しやすい傾向があります。

人員配置が適正でないと起きること

人員配置が不足している職場では、以下のような問題が起きやすくなります。

  • 1日の単位数が20単位を超えることが常態化する
  • 書類作業やカンファレンスの時間が確保できない
  • 休暇を取ると他のスタッフに負担がかかるため取りにくい
  • 新人教育やフォローが十分にできない
  • 離職者が出ると欠員補充まで負担が増える

こうした状況を避けるためにも、人員配置は事前に確認しておくべき重要な指標です。

理学療法士が確認すべき「人員配置」の3つの指標

では、具体的にどのような数字を確認すればよいのでしょうか。以下の3つの指標を押さえておくと、職場の余裕度が見えてきます。

① PT・OT・ST全体の人数

まず、リハビリテーション部門全体で何人のスタッフがいるのかを確認しましょう。病床数や利用者数に対して、リハビリスタッフの人数が適正かどうかが重要です。

たとえば、回復期リハビリテーション病棟では、「入院患者数÷リハビリスタッフ数」がおおよその担当患者数の目安になります。入院患者50名に対してリハビリスタッフが10名であれば、1人あたり5名程度の担当になる計算です。

② PT:OT:STの比率

次に、PT・OT・STのバランスも確認しておきたいポイントです。理想的には、PT:OT:STが「2:1:1」程度のバランスが取れていると、各職種が専門性を活かしながら連携しやすくなります。

ただし、PTだけが極端に多い職場(たとえばPT10名、OT2名、ST1名など)は、PTに業務が偏りやすく、本来OTやSTが担当すべき領域までPTがカバーしている可能性があります。

③ 1人あたりの担当患者数(単位数)

最も重要なのが、1人あたりの担当患者数や1日の平均単位数です。1日の標準的な単位数は18単位とされていますが、算定上の上限は24単位です。

1日の平均単位数が18単位程度であれば、標準的な業務量と言えます。ただし、20〜21単位が常態化している職場は、やや余裕がない可能性があります。たまに20単位を超える日があるのは問題ありませんが、毎日のように20単位以上を取得している状態が続くと、書類作業やカンファレンスの時間が確保しにくくなります。

回復期・療養・訪問など、領域別の適正な人員配置の目安

人員配置の適正ラインは、働く領域によって異なります。ここでは、主な領域ごとの目安を整理します。

回復期リハビリテーション病棟の場合

回復期リハビリテーション病棟では、施設基準として「回復期リハビリテーションを要する状態の患者に対する1日当たりリハビリテーション提供単位数は平均2単位以上」が求められています。この基準はすべての入院料(入院料1〜5)で共通です。

実際の余裕度を見るには、「入院患者数÷リハビリスタッフ数」で1人あたりの担当患者数を計算するとよいでしょう。

1人あたりの担当患者数が4〜6名程度であれば、比較的余裕を持って働ける環境と言えます。7名を超えると、業務負担がやや重く感じる場合があります。

療養病棟・一般病棟の場合

療養病棟や一般病棟では、回復期ほど明確な配置基準はありませんが、1日の平均単位数が重要な指標になります。

療養病棟では、1人あたり1日18単位程度が標準的なラインです。20単位を超える日が頻繁にある職場は、人員が不足している可能性があります。

訪問リハビリの場合

訪問リハビリでは、1日の訪問件数が目安になります。一般的には、1日5〜6件程度が適正なラインです。

7件以上になると、移動時間や記録時間を考えると余裕がなくなります。また、訪問リハでは移動時間も拘束時間に含まれるため、訪問件数だけでなく移動範囲も確認しておくことが大切です。

デイサービス・デイケアの場合

デイサービスやデイケアでは、1日の利用者数に対してリハビリスタッフが何名配置されているかを確認しましょう。

利用者20名に対してリハビリスタッフが2〜3名いれば、個別リハビリの時間も確保しやすくなります。逆に、利用者30名に対してリハビリスタッフが1名しかいない場合は、個別対応が難しく、業務負担が大きくなる傾向があります。

人員配置から「余裕がない職場」を見抜くサイン

人員配置の数字から、余裕がない職場を見抜くサインをいくつか紹介します。

PTだけが極端に多い(OT・STが少ない)

PT:OT:STの比率が極端に偏っている職場は、各職種の専門性が活かされていない可能性があります。たとえば、PT10名、OT1名、ST1名といった配置の場合、本来OTが担当すべき上肢機能訓練やADL訓練もPTがカバーしている場合があります。

この状態が続くと、PTの業務負担が増え、専門性を活かした評価・治療がしにくくなることがあります。

1人あたりの単位数が20単位以上が常態化

1日の平均単位数が20〜21単位以上が常態化している職場は、慢性的に人員が不足している可能性があります。算定上の上限は24単位ですが、20単位を超える日が毎日続くと、書類作業やカンファレンスの時間が確保できず、残業が増える原因になります。

離職率が高い、または欠員補充が続いている

求人票に「欠員補充」と書かれている場合、離職者が出たことを意味します。欠員補充の求人が頻繁に出ている職場は、人員配置に問題がある、または職場環境に課題がある可能性があります。

面接や見学の際に、「前任者の退職理由」や「離職率」を確認しておくと、職場の実態が見えてきます。

求人票や面接で人員配置を確認する具体的な質問例

人員配置は、求人票だけではわからないことも多いため、面接や見学で直接確認することが大切です。以下のような質問を準備しておくとよいでしょう。

「現在のPT・OT・STの人数を教えてください」

この質問で、リハビリ部門全体の規模と、各職種のバランスが確認できます。PT・OT・STの内訳を聞くことで、比率の偏りもわかります。

「1日の平均単位数はどれくらいですか?」

この質問で、1人あたりの業務負担が見えてきます。「平均18単位程度です」という回答であれば標準的ですが、「20〜21単位が基本です」という回答の場合は、やや余裕がない可能性があります。

「欠員が出た場合、補充までどれくらいかかりますか?」

この質問で、職場の採用体制や、欠員時の対応が見えてきます。「すぐに補充します」という回答であれば安心ですが、「しばらくは残っているスタッフでカバーします」という回答の場合、欠員時の負担が大きくなる可能性があります。

求人票の見方全体については、こちらの記事で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてみてください。

私の臨床経験から見た、余裕のある職場・ない職場の違い

これまでの経験から、余裕のある職場とない職場の違いをいくつか挙げてみます。

余裕がある職場の特徴

  • 1日の平均単位数が18単位程度で、20単位を超える日が少ない
  • PT・OT・STのバランスが取れている
  • カンファレンスや勉強会の時間が業務時間内に確保されている
  • 有給休暇が取りやすい雰囲気がある
  • 新人教育やフォロー体制が整っている

余裕がない職場の特徴

  • 1日20単位以上が常態化している
  • PTだけが極端に多く、OT・STが少ない
  • 書類作業が残業時間に回されている
  • 有給を取ると他のスタッフに負担がかかるため取りにくい
  • 欠員が出ても補充までに時間がかかる

こうした違いは、人員配置の数字からある程度読み取ることができます。

よくある質問と注意点

Q. 人員配置が多ければ必ず働きやすい?

必ずしもそうとは限りません。人員が多くても、業務の分担が明確でなかったり、マネジメントがうまく機能していなかったりすると、逆に非効率になることもあります。

人員配置は重要な指標ですが、それだけで判断せず、職場の雰囲気や業務の進め方も確認することが大切です。

Q. 求人票に人数が書いていない場合は?

求人票に人員配置が書かれていない場合は、面接や見学で必ず確認しましょう。「現在のスタッフ構成を教えてください」と聞けば、ほとんどの職場は教えてくれます。

Q. 面接で聞きにくい場合はどうする?

転職サイトのキャリアアドバイザーを利用している場合は、アドバイザー経由で確認してもらうこともできます。また、職場見学の際に、実際に働いているスタッフに質問する方法もあります。

職場の内部情報を知るなら転職サイトのアドバイザーに相談

人員配置や職場の雰囲気など、求人票だけではわからない情報を知りたい場合は、転職サイトのキャリアアドバイザーに相談するのもおすすめです。特にレバウェルリハビリでは、職場の内部情報に詳しいアドバイザーが、人員配置や離職率などの情報を提供してくれます。

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まとめ

人員配置は、職場の余裕度を判断するための重要な指標です。給与や休日だけでなく、PT・OT・STの人数や比率、1人あたりの単位数を確認することで、実際の働きやすさが見えてきます。

特に、1日の平均単位数が20単位以上が常態化している職場や、PTだけが極端に多い職場は、余裕がない可能性があるため注意が必要です。

求人票だけではわからない情報も多いため、面接や見学で必ず確認し、転職サイトのアドバイザーも活用しながら、自分に合った職場を選んでいきましょう。

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