理学療法士が押さえるべき呼吸リハビリの基本|評価と介入の考え方をわかりやすく解説

臨床スキル・実践知識

こんな悩みはありませんか?

・呼吸リハの評価は複雑に感じる
・どこまで観察すれば良いのかわからない
・介入の優先順位がつけられない
・呼吸リハが苦手のままになっている

呼吸リハは専門性が高く、“どこから手をつけるべきか”迷いやすい分野です。
しかし、評価の視点をシンプルに整理すると、臨床での観察がぐっと楽になります。

この記事では、明日から使える「呼吸評価の基本」と「介入の考え方」をやさしくまとめました。


呼吸リハビリは「観察 → 評価 → 介入」の3ステップ

① 観察:まずは「見て・触れて・聞く」

呼吸リハの最初のステップは“丁寧な観察”です。
観察から多くの情報が得られるため、評価の方向性がつかみやすくなります。

チェックポイント:
・体位や姿勢(胸郭の左右差・肩の挙上・猫背の有無)
・呼吸パターン(胸式・腹式・肩呼吸など)
・補助筋の使用
・会話時の呼吸の乱れ
・呼吸音(努力性呼吸や喘鳴 など)

観察から得られる情報は多く、評価のベースとしてとても重要です。

② 評価:どこに問題があるのか“傾向”をつかむ

呼吸評価は複雑に見えますが、軸を3つに絞ると整理しやすくなります。

評価の3つの軸
1. 換気量(胸郭の動き)
2. 筋の働き(横隔膜・補助筋のバランス)
3. 姿勢・体位(胸郭が動きやすいかどうか)

臨床で使いやすい簡易的な指標としては、次のようなポイントがあります。

  • 胸郭の動きの広がり(視診でおおまかな傾向をつかむ)
  • 呼吸の参加部位(胸式か腹式か)
  • 呼吸数(安静時12〜20回)
  • SpO₂の変動(介入中も含む)

胸郭拡張については、厳密な数値計測ができなくても、視診や触診で
「左右差があるか」「広がりが乏しいか」といった特徴を捉えるだけでも、評価の参考になります。

③ 介入:評価から“最初に手をつけるべきポイント”を選ぶ

呼吸リハの介入メニューはたくさんありますが、
大切なのは原因に一番近いところに絞って取り組むことです。

例:

  • 胸郭が硬い → 胸郭モビライゼーション
  • 横隔膜が働きにくい → 横隔膜呼吸の誘導
  • 体位で苦しくなる → ポジショニングの調整
  • 補助筋ばかり働いている → リラクセーション+腹式誘導

“全部やる”よりも、“1つに絞って深く行う”方が効果が出やすいです。


呼吸リハで見落としやすい3つの視点

① 姿勢は呼吸の質に大きく影響する

次のような姿勢は、呼吸の質に大きく影響します。

  • 猫背で胸郭が広がらない
  • 骨盤後傾で横隔膜が働きにくい
  • 頸部の過緊張で補助筋が優位になる

姿勢が整うだけで呼吸が楽になる患者さんは多いため、
姿勢チェックは介入前の必須項目です。

② 横隔膜が働けない原因を探す

横隔膜の動きに影響しやすい要因:

  • 腹圧がうまく入らない
  • 肋骨下部の可動性低下
  • 反り腰・猫背による位置関係の崩れ

横隔膜が使えないと、呼吸パターンが安定しません。

③ 呼吸は“動作とセット”で評価する

臨床では、安静時だけでなく以下の場面も観察すると理解が深まります。

  • 歩行中の息切れ
  • 起居動作での呼吸の乱れ
  • 介入中の呼吸変化

“呼吸だけを見る”のではなく、
動作全体の中での呼吸の使われ方を観察することが重要です。


よくある症例パターンと介入のヒント

ケース1:肩で呼吸してしまう(努力性呼吸)

想定される原因: 補助筋過活動

介入の方向性:
・リラクセーション(頸部・肩周囲)
・腹式呼吸の誘導(仰臥位・側臥位など負担の少ない体位で)

ケース2:胸郭が硬くて動かない

想定される原因: 肋骨・胸椎の可動性低下

介入の方向性:
・胸郭モビライゼーション(前後・側方・回旋方向)
・胸椎伸展を引き出すポジショニング
・呼吸と連動させたストレッチ

ケース3:横隔膜がうまく働かない

想定される原因: 姿勢の乱れ(骨盤後傾・反り腰など)

介入の方向性:
・骨盤位置の調整(座位・立位でのアライメント調整)
・胸郭下部の動きを促す呼吸練習
・横隔膜呼吸を意識した練習(手を当ててフィードバック)


まとめ:呼吸リハは観察と姿勢評価が“軸”になる

  • 観察が丁寧であれば、評価の方向性が自然に見えてくる
  • 評価は「換気量」「筋の働き」「姿勢」の3つで整理すると考えやすい
  • 介入は“原因に近い1つ”を選ぶと効果が出やすい
  • 姿勢・体位の調整は呼吸改善への近道になりやすい

呼吸リハが難しいと感じる方も、
まずは“観察”と“姿勢の視点”を丁寧に積み重ねるところから始めてみてください。

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