はじめに|ROM評価は教科書通りに測れない場面のほうが多い
ROM評価は、教科書的には
「この肢位で、この軸を合わせて、この方向に動かす」と示されています。
しかし実際の臨床では、
- 拘縮が強く、そもそもその肢位が取れない
- ベッドサイドでスペースがなく、評価者の立ち位置が限られる
- 疼痛や恐怖心で、途中から力が入ってしまう
など、理想条件で測定できないケースのほうが多いと感じる方も多いのではないでしょうか。
そのためROM評価で重要なのは、
「教科書通りに測れたか」ではなく、
どんな条件で、どこまでをその関節の動きとして捉えたかを整理できているかです。
ROM評価で誤差が出やすい理由①|測定条件が毎回変わりやすい
ROM評価は角度計を使うため、
一見すると数値は客観的に見えます。
ただし実際には、
- 患者さんの姿勢
- ベッドの高さや幅
- 評価者の立ち位置
- 周囲の環境(柵・点滴・ナースコールなど)
こうした条件が少し変わるだけで、
基本軸・移動軸の位置関係は簡単にズレます。
特にベッドサイドでは、
- 体幹が傾いたまま測定している
- 骨盤が回旋した状態で股関節を動かしている
といったことが起こりやすく、
関節自体の可動性より姿勢の違いが数値に反映されてしまいます。
ROM評価で誤差が出やすい理由②|拘縮があると教科書的な肢位が取れない
拘縮がある関節では、
- 開始肢位そのものがズレている
- 中間域で代償動作が混ざりやすい
- 終末域に近づくほど、他部位の動きが出やすい
といった特徴があります。
たとえば股関節屈曲では、
骨盤後傾を含めて評価する場面も多いと思います。
この場合、
- 骨盤後傾を含めた「機能的な可動域」として見ているのか
- 骨盤の動きを抑えた「関節可動域」として見ているのか
その解釈を自分の中で整理しておかないと、
数値の意味が曖昧になります。
拘縮が強い症例ほど、
どこまでをその関節の動きとみなすかを意識することが重要です。
ROM評価で誤差が出やすい理由③|測定中に条件が変わっている
評価中は角度計と動きに集中するため、
途中で条件が変わっていることに気づきにくくなります。
- 動かす途中から体幹が逃げている
- 疼痛が出て、患者さんが防御的になっている
- 評価者の手の位置が無意識に変わっている
こうした変化が起きると、
同じ関節を測っていても、最初と最後では別の条件になっていることがあります。
これは「最後までしっかり固定できていない」というより、
測定条件を最後まで維持できていないと捉えたほうが理解しやすいです。
誤差を減らすために意識したい測定時の考え方
ROM評価で誤差を減らすために大切なのは、
- 理想肢位にこだわりすぎない
- その場で可能な条件を明確にする
- 前回と同じ条件で測れているかを意識する
という視点です。
教科書通りに測れない場合でも、
- 今回はベッドサイドで体幹軽度傾斜位
- 骨盤の動きはある程度含めて測定
- 疼痛出現前までを可動域とする
といったように、
測定条件を自分の中で言語化できていれば、評価としては十分成立します。
臨床で感じたROM評価のズレ
歩行や立ち上がりが明らかに改善している患者さんで、
股関節伸展ROMの数値がほとんど変わらなかった経験があります。
振り返ると、
- 初回はベッドサイドで体幹代償を含めて測定
- 再評価では姿勢を整えて測定
しており、
そもそも条件が揃っていませんでした。
この経験から、
ROMの変化を見る前に測定条件が同じかを確認する重要性を強く感じました。
まとめ|ROM評価は「条件込み」で解釈する評価
- 教科書通りに測れない場面が多い
- 環境や拘縮の影響を受けやすい
- 数値だけを見ると誤解しやすい
だからこそ、
「今回はこの条件で、ここまでをROMとして評価している」
と説明できる状態を作ることが、
ROM評価の信頼性を高めるポイントになります。


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